本作、正直言って、あまりアニメファンには受け入れられませんでしたね。確かに、賛否のあるロトスコープだし、シーンごとの背景が連続していなかったり、前作の実写とで背景の矛盾があったり、隅々までしっかり見るのに慣れているコアなアニメファンには「粗」が見えるようなところがあったのかもしれません。 でも、個々のシーンはさすがに綺麗だし、細かいことを気にしなければロトスコープの包まれるようなやわらかい雰囲気も心地いいですし、それに、１０年前の前作実写と同じキャストで、違和感なくその前日譚を作れてしまうというのは、やはりアニメの凄さだなと思いました。公開中には４回ほど劇場に観に行きましたが、「無敵」だが危なっかしく、でも何か羨ましくなるくらい若さの溢れている女子中学生（しかもそれを、中の人的にはもう３０に近い蒼井優と鈴木杏が演じているというのも、個人的にはポイントなのですが）を、観客も皆、時にクスクスしながら、温かく見守っている雰囲気が印象的でした。本当に本作を好きな人に限った、小さめの劇場でも構わないので、あの、みんなで本作品を温かい目で観る雰囲気を、ぜひまた味わいたいなと思います。