主演の川西拓実演じる清澄が潮とAZURに呼び戻され涙を零すシーンの表情が忘れられず、もう一度大画面であの瞬間が観たいです。 劇中歌も本人歌唱・演奏で聴きごたえがあり、どのサウンドも繊細で美しく映画館の音響でぜひまた浸りたいです。 また、どの登場人物の立場にも孤独や葛藤があり、それぞれの立場から共感できてしまい、全員嫌いになることができず、人間らしくて愛おしい気持ちになるので、またスクリーン越しに彼らと再会できることを切に願っています。 そして、音楽の中でしか居場所がなく人に期待してはその期待にも自分で応えられず勝手に裏切られたような気になって独りよがりになっていく清澄の孤独も、潮の「自分が見つけた」と思っていた人がどんどん世間に認知され応援したい気持ちと裏腹に自分の手を離れ遠ざかっていく喪失感や矛盾した気持ちに息苦しくなり離れようとする苦悩も、誰もが一度は経験したことがあるはずです。 そんな清澄と潮とAZURのおかげで、ただの一視聴者である私自身の過去の孤独な自分まで癒され、これまでの苦悩が少し報われたような気持ちになれる爽やかなラストでした。 心の内側の柔らかい部分まで染み渡るような繊細で優しい映画です。ぜひまた映画館という特別な場所で今作が観たいです。