小学生の頃、公会堂上映があり友達と会えるという目的で観に行きましたが、目的も忘れるくらい、自分のふるさとが水の中に沈んでしまうなんてと、同年代の男の子が出ていたので身近なことのように感じられ、今の子どもたちにも心に響くと思います。

劇場で観たのは一度だけですがさまざまなシーンが脳裏に焼きつきました。その後VHSは作られたものの、デジタル化されるまで30年かかり、幻の名作と言われてきました。主演の加藤嘉さんはこの作品でモスクワ映画祭で主演男優賞に輝きました。ダムに沈む運命の村での「じい」と「ぼう」の最後の夏。社会問題を織り混ぜながら美しい自然が胸をうつ、神山征二郎監督による『こぶしプロダクション第一作』。 今、こういう時代だからこそ、多くの人に観てもらいたい作品です。